平成26年度高齢社会白書を読み解く

◆高齢者の現状
平成24年の全世帯数は4,817万世帯となっていますが、そのうち高齢者の居る世帯は2,093万世帯と全世帯の43.4%を占めております。更に、そのうち高齢者単独世帯は487万世帯、高齢夫婦世帯は633万世帯と高齢者のみの世帯が1,120万世帯となっており、全世帯の23.2%を占めるまでになっており、今後も急速に増加する傾向にあります。
従って、今後これらの高齢者のみの世帯に対してどう対応して行くかが日本の社会にとって大きな課題になって行きます。

それでは高齢者の実態について述べて行きます。

・経済的背景
経済的な面から見ると、今後の生活に対して「心配無い」「それ程心配無い」と考えている人は60歳以上の人で71%、80歳以上では80%に上り、経済面では比較的恵まれている状況にあります。

・健康上の問題
高齢者のうち、要介護認定者は545.7万人となっており、高齢者人口の17.1%を占めています。この内、要介護1以上の認定者は396.2万人で高齢者人口の12.4%となっております。
しかしながら、健康上で何らかの自覚症状があると回答している人が47.1%に上り、更に生活に何らかの支障があると感じている人が20.9%と、要介護認定者の比率を大きく上回っており、かなりな方々が健康上の不安を抱えて生活している状況にあります。

・介護を担う人
本人が要介護状況になった時に介護を実際に担っている人の内、約1/4の25.7%を配偶者が占めており、その配偶者の約70%を女性が占めていて老々介護の問題が顕在化してきております。

・介護を受けたい場所
本人が要介護状態になった時に介護を受けたい場所については、男性の42.2%、女性の30.2%が自宅と回答しており、民間老人ホーム等は各々2.3%、3%と圧倒的少数派となっています。更に、最後を迎えたい場所については医療施設が27.7%、自宅が54.6%と自宅志向が更に強くなっております。
但し、自宅で介護を受けたいと望む比率が女性の方が男性より10%以上低い事は、女性の方が介護の実態についての認識をしているものと考えます。

・現在の住まいに対する満足度
現在の住まいについては89.3%の人がほぼ満足と回答しております。しかしながら、日常の買い物、通院、交通機関の不便さ等、約40%の人が何らかの不満を抱えている状況にあります。
更に、身体が虚弱化した時に望む居住形態としては「現在のまま」「改築して」現在の住まいで居住継続したい人が66.4%、「老人ホーム又は高齢者住宅」に住みたい人が21.7%となっており、現実的には現在の住まいでの居住継続は難しいと認識している人が多い事がうかがえます。

・高齢者の事故について
高齢者の事故の77.1%が自宅内で発生しており、更に居室内の事故が45%を占めているのが現実です。この事は現状の住まいが、高齢者の住まいとして充分な状況では無いと言う事を示しています。

・高齢者の生涯学習について
高齢者の生涯学習等のグループ活動の参加については、平成15年は54.8%であったが平成25年には61%に上っています。しかし、参加しない理由について尋ねてみますと「きっかけや仲間の不在」「情報の不足」が60代の方々の56.3%にも上っており、参加したくても参加出来ない状況がうかがえます。

高齢者単独世帯の安心・安全を考えた場合、コミュニティーへの参加が大きな意味を持つと考えられ、参加の機会を如何に作るかかが大きな課題となると考えます。

◆医療・介護の国としての方向性
国は医療・介護を施設から在宅へと大きく方向性を打ち出しております。
介護については、従来より地域包括ケアの考え方を打ち出しておりましたが、医療についても在宅への方向性を明確に打ち出し、「高度・一般急性期病床」と「長期療養病床」の橋渡しの役割として「地域包括ケア病床」を新設、同時に欧米の「家庭医」と同様な機能を有する「主治医」制度の導入を決定しました。
然しながら、ここで誤解してはならないのは国が言う在宅とは「従来の自宅」だけでは無く、「介護付き・住宅型有料老人ホーム」「グループホーム」「サービス付き高齢者住宅」等の「高齢者の住まい」も含まれていると言う事です。
この事は、国としても「従来の戸建ての自宅」での高齢者の生活には問題があると認識しているものと考えます。

◆まとめ
国が医療・介護の在宅化を明確に打ち出している以上、今後の高齢者の生活は在宅を前提に考えざるを得ない。
しかしながら、「高齢者単独」「高齢夫婦のみの世帯」が1,100万世帯を超えた現状と、多くの人が抱えている「健康の不安」「現状の住まいの不便」「老々介護の不安」を解消する為には「現在の住まい」では難しいと考えるし、国もその様に考えていると想定する。
本来、制度が出来た時は「自立・軽度者」対象であったはずの「サービス付き高齢者住宅」も調査によると入居者の内、自立の方が入居者の11.5%に過ぎず現状の国が考える在宅施設も殆どが要介護者対象であり、圧倒的多数を占める健常高齢者の住まいが無い状況にある。
従って、今後の高齢社会にとって必要であるのは「健常高齢者」が「将来の不安」を持つ事無く、「孤独に苛まれる」事無く生活出来る住まいの提供であると考えます。