「平成27年度国民生活に関する世論調査」解説

平成27年9月に内閣府より「平成27年度国民生活に関する世論調査」の結果が公表されました。ここでは、高齢者に関する主な項目について解説いたします。

1.高齢者の生活実感は悪化している
「去年と比べた生活の向上感」については、平均して「向上している」が6%、「同じようなもの」が75%、「低下している」が19%となっていますが、高齢者については60歳代の26%、70歳代の25%が悪化していると答えており、特に高齢者において生活感が悪化している事が窺えます。

2.高齢者は今の生活を楽しみたい気持ちが強い
「将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか」という設問に対して、「貯蓄や投資など将来に備える」が34%、「毎日の生活を充実させて楽しむ」が75%となっていますが、70歳代では「将来に備える」が8%、「今の生活の充実」が82%と高齢になるほど、今の生活を楽しみたいと言う気持ちが強くなっています。

3.心の豊かさを求める気持ちは高齢女性ほど強い
「これからは心の豊かさか、まだ物の豊かさか」という設問に、「心の豊かさ」が62%、「まだ物の豊かさ」と答えた人が32%となっています。「心の豊かさ」と答えた人は、高年齢になるほど高くなっていますが、男性高齢者の場合は平均値と殆ど変らない数値となっています。それに対し女性高齢者の場合は、平均値より10%近く高い比率となっており、女性の方が「心の豊かさ」を求めているという結果となっています。

4.高齢女性の方が生活や社会的交流に充実感を持っている
「現在の生活の充実感」についての設問に対しては、「充実感を感じている人」が73%、「充実感を感じていない人」が26%となっています。「充実感を感じている人」は20~30歳代が多く、高齢男性は平均値を下回っていますが、高齢女性はほゞ平均値と同様となっています。
一方、「充実を感じる時」については、平均では「家族団らんの時」が52%と最も高くなっていますが、高齢者の場合はこの項目については平均を大きく下回っています。
これは現実問題として子供たちと同居している高齢者が少なく、夫婦2人だけの暮らしの中で団らんのイメージが無いものと考えられます。
次に多い答えは「友人、知人と会合の時」で46%となっていますが、男性高齢者の場合はほゞ平均値であるが、女性高齢者の場合は平均値を7%ほど上回っており、高齢女性の方が、生活や社会的交流が充実している事が窺えます。

5.高齢女性の方が日常生活に悩みや不安を抱えている
「日常生活に悩みや不安を抱えているか」と言う設問については、「悩みや不安を抱えている人」は67%となっています。
60歳以上の高齢男性の場合は平均を下回る62%ですが、60歳代女性の場合は71%と平均より大幅に高いものとなっています。
「悩みや不安」の内容は「老後の不安」が56%、「自分の健康」が49%と高くなっており、この事は夫婦の場合、男性が先に亡くなる場合が圧倒的に多く、残された後に不安を感じていると想定されます。

6.老後は「子供達とは別々に暮らす」が最も多い、但し70歳以上ではその比率は減少
「老後は誰とどのように暮らすのがよいか」と言う設問に対し、最も多かったのが「子供達とは別々に暮らす」が36%で、この数値は5年前と変わりません。次に多いのが「どの子でも良いから近くに住む」が約18%で5年前と比べて2.5%上昇しています。次が「息子夫婦と同居」で約12%となっていますが、5年前と比べて3.9%減少しています。男女別では、女性の方が「子供達とは別々に暮らす」比率が低く、「子供の近くに住む」比率が高くなっています。
年齢別に比較すると60歳代は平均と大きく変わりませんが、70歳以上になると「子供達とは別々に暮らす」が平均より7%も減少、更に「息子夫婦と同居」が24%と平均を12%と大きく上回っています。
高齢化により身体が弱ったり、将来の一人暮らしへの不安が増すほど、現実的な問題は別として「子供との同居」希望が増えていると思われます。

【総括】
高齢者の生活実感としては、多少厳しさは増しているものの、ここに挙げていない項目を見ると比較的恵まれた生活を送っていると思われます。
男女別に見ると、高齢女性の方が社会的にも自立している一方、夫婦の場合、女性が一人残される事が多いためか、将来の不安を強く抱えている事が窺えます。
今後の高齢化の進行を考えると今後の課題としては

  • ・女性に比較して社交性が低い男性高齢者の社交性を向上させ、如何に地域社会に取り込んで行くか。
  • ・今後益々増大する単身高齢者の不安をどう解消して行くか。
  • 等の事項があると考えます。
    当研究所としては、これらの課題の解決に向けて総合的な提案を行っていきます。