「平成28年度高齢社会白書」解説

平成28年度高齢社会白書が平成28年6月にネット配信されました。
以下、着目した項目に付いて解説していきます。

◆高齢者のみの世帯が大幅に増加
平成24年度の高齢者単独世帯は約487万世帯、高齢夫婦のみの世帯は約633万世帯と高齢者のみの世帯が1,120万世帯と全世帯の54%を占めていましたが、平成26年度には高齢者単独世帯が596万世帯、高齢夫婦のみの世帯が724万世帯となり、高齢者のみの世帯が1,320万世帯、全世帯の56%となり、わずか2年間で高齢者のみの世帯が約200万世帯も大幅に増加しています。
原因の一つは高齢化の進行によるものですが、親と未婚の子供のみの世帯も同時に約63万世帯増加しているのを見ると、核家族化が一層進行していることが伺われます。
今後の更なる高齢化の進行を考える時、この約1,320万世帯という膨大な高齢者のみの世帯にどう対応して行くかが大きな課題になると考えます。

◆要支援・要介護者の状況
要支援、要介護の認定を受けた人は平成25年度末で約569万人となっており、第1号被保険者(65歳以上の人)の18%となっています。65歳から74歳迄の前期高齢者では、要支援認定者は1.4%、要介護認定者は3.0%と合わせて4.4%に過ぎませんが、75歳以上の後期高齢者においては要支援認定者8.8%、要介護認定者23.3%、合わせて32.1%と大幅に増加します。
一方、介護保険制度のサービスを利用した65歳以上の人は、平成27年1月分で約488万人と認定者と比較して約81万人少ない状況となっています。更に、介護保険制度のサービスを利用した人は女性が71%と圧倒的に女性が多くなっています。その理由の1つとして、夫婦2人世帯の場合、介護サービスを利用せずに配偶者女性が介護を担っている事が想定されます。
現実に、統計上は主な介護者の70%近くが女性であり、更に問題は要介護者と同居している主な介護者の年齢は男女共に約70%が60歳以上となっており、老老介護が今後益々問題になって行くものと思われます。ただ、いずれにしても65歳以上の高齢者の80%以上は健常な高齢者であり、この健常高齢者が如何に健康状況を維持しながら安心して暮らして行ける環境をどう作って行くかの方が、より重要であると考えます。

◆高齢者の事故、犯罪被害について
高齢者の事故は家庭内での事故が最も多く、その中でも居室45%、階段19%、台所・食堂17%と、この3つで約8割を占めています。
一方、通常危険と思われている風呂場での事故は2.5%と、20~64歳迄の事故率4.3%より低いものとなっています。その他、高齢者の事故や犯罪被害で特筆して多いものは、
・交通事故死者に占める高齢者の割合が、55%と半数超。
・振り込め詐欺の被害者の60歳以上の割合は82%、オレオレ詐欺の被害者に限ると98%となっており、特に70歳以上の女性の割合は67%。
・住宅火災の死者に占める65歳以上の高齢者の割合は、約70%。

いずれにしても、今の住まいの段差の問題や、耐火性の問題、相談出来る人がそばにいる、などの対応がなされていれば、かなり改善されていくと考えられます。
 
◆高齢者の日常生活
高齢者が充実感を感じるときは、男性では「趣味やスポーツに熱中している時」が44%、女性は「友人や知人と会合、雑談をしている時」が53%と最も多く、次いで「家族団らんの時」が男性38%、女性43%と続いています。
日常生活の情報源は「テレビ」79%、「新聞」64%と従来のメディアが圧倒的に多く、「インターネット、携帯電話」に付いては男性23%、女性9%と低い数値となっています。
一方、孤立死(孤独死)を身近に感じている人は、高齢者全体では2割に満たない状況ですが、単身高齢者では4割を超えています。
単身高齢者世帯が大幅に増加している現状を踏まえると、コミュニティーの形成と   緊急時の対応がこれからの高齢者の住まいとして重要となると考えられます。

◆まとめ
今後、高齢夫婦世帯および単身高齢者世帯が益々増えて行く状況であり、更に高齢者対応施設は実質的に要介護者しか受け入れない状況の中で、圧倒的多数である健常高齢者の住まいが大きな課題となっています。
建物のバリアフリー、防災を含めた構造的問題や、コミュニティー形成、緊急時の安全確保、要介護等の将来不安の払拭、身近な相談相手等、健常高齢者が安心して暮らせる住まいの重要性が益々増大して行くことが想定されます。