国民生活基礎調査・解説

平成29年6月に厚生労働省より平成28年国民生活基礎調査が発表されました。先に発表された内閣府の高齢社会白書と重複する内容もありますので、重複しない範囲で解説致します。

1.高齢者世帯の内、高齢者単独の世帯が約半数、高齢男性単独世帯が急速に増加している。
平成28年の高齢者世帯(高齢者だけの世帯)は1327.1万世帯、内高齢者単独世帯が655.9万世帯と約半数を占めています。
平成元年の高齢者世帯は305.7万世帯であり、高齢者世帯は4.34倍となっています。一方、高齢者単独世帯の増加は4.11倍と高齢者世帯の伸びを下回っていますが、高齢男性単独世帯は30.7万世帯から209.5万世帯と6.82倍となっており、高齢女性単独世帯の3.47倍の約2倍と急速な伸びを示しています。

2.65歳以上の高齢者の子との同居は大幅に減少しているが、配偶者の居ない子との同居は大幅に増加している。
平成元年時点の子供と同居している人数は853.9万人で高齢者人口の60%を占めていたが、平成28年は1357万人と人数は増えているが比率は38.4%と減少しています。
更に言えば、子供との同居人数は増加しているものの、その大半を占めているのは配偶者の居ない子供との同居であり、平成元年の252.4万人から平成28年の953.6万人と3.8倍もの大幅な伸びを示しています。
一方、子供夫婦との同居は601.6万人(42.4%)から403.4万人(11.4%)と人数も率も大幅に減少しています。この事は従来家族が担ってきた介護の力が弱体化している事を示しているものと考えられます。

3.高齢者の生活は一般的に安定しているが、65歳以上の高齢者の約45%が貯蓄が減ったと回答している。
高齢者の65%が今後の生活について心配無いと回答しているが、60歳以上の高齢者の約45%が貯金が減ったと回答しており、原因として約7割の人が日常の生活費への支出の為と回答しています。
高齢者が日常の生活費の為に貯金を取り崩して生活するのは当然とも言えますが、何時まで生きるか分からない中で、貯金が持つかと言う不安が長生きリスクとなっていると考えます。

4.高齢者の健康状態
65歳以上の高齢者の有訴率は男性41.7%、女性46.9%、75歳以上の高齢者の有訴率は男性48.0%、女性52.2%となっていますが、平成25年調査より平均で2%下がっています。
尚、症状に付いては男性が腰痛、肩こり、せきやたんの順であり、女性は肩こり、腰痛、関節痛の順となっています。一方、通院している症状は男性は高血圧症、糖尿病の順であり、女性は高血圧症、目の病気の順となっており、圧倒的に高血圧症の比率が高くなっています。
しかしながら、自分が健康であると思っている人の割合は、普通と回答した人を含め、65歳以上の人では男性の76.4%、女性の74.5%に上り、75歳以上でも男性の69.3%、女性の66.4%にもなっており、比較的健康を保っていると考えられ、国の言う健康寿命とのかい離が見られます。

5.世帯の中の要介護認定者の比率
高齢者単独世帯の28.9%、高齢夫婦世帯の21.9%の世帯に要介護認定者が居る状況にありますが、要支援認定者を除外し要介護1以上に限定すると高齢単身世帯の15.6%、高齢夫婦世帯の15.1%の世帯に要介護認定者がいる状況となっています。

6.80歳が要介護になる節目
要介護認定を受けている人の内、男性の59.9%、女性の74.3%が80歳以上であり、80歳が要介護状態になる節目であると想定されます。
また、要介護になった主な要因としては認知症が約25%、脳血管疾患が18.4%、高齢による衰弱が12.1%となっており、認知症対策が今後の大きな課題であることが明確になっております。

7.介護者の約70%が60歳以上
同居親族が介護者となっている比率が58.7%と過半数を占めており、次に事業者が13%となっていて、同居親族が介護の主体となっています。同居親族の要介護者との続柄では「配偶者」が25.2%で最も多く、同居の主な介護者の性別は、男性34.0%、女性66.0%と女性が2/3を占めています。
また、介護者の年齢をみると男性の70.1%、女性の69.9%が60歳以上となっており、高齢社会白書の解説でも書きました通り、高齢者を地域で支える仕組み作りが今後益々重要になると考えます。