平成30年度「高齢社会白書」解説

平成30年度高齢社会白書が6月に内閣府から発表されました。
以下、注目点について解説します。

◆高齢者のみの世帯が更に増加、同時に孤独死の不安も増加
 平成26年度と比較して、平成28年度には高齢者単独世帯が60万世帯、夫婦のみの世帯が28万世帯増加し、高齢者だけの世帯が平成26年度の1320万世帯から1408万世帯に増加し、高齢者の居る全世帯2417万世帯の58%となり、高齢者だけが住む世帯が今後益々増加して行くと想定されます。
 これにより、孤独死を身近な問題と受け止める人は、60歳以上の高齢者全体では17.3%に過ぎないが、一人暮らしの世帯では45.4%と殆ど2人に1人が不安を感じています。

◆要介護認定者数と施設の収容人数
 要介護または要支援の認定を受けた人は平成27年度末で606.8万人で前年度より15.2万人増加しています。
 この内、要介護認定1以上は435.2万人、要介護認定3以上は210.3万人となります。
 一方、これらの方々の受け皿となる特別養護老人ホーム、老健施設、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者住宅、軽費老人ホーム、養護老人ホーム、介護療養型医療施設の収容人数は195.1万人となっています。この収容人数は、要介護認定1以上の認定者の44.8%となっており、家庭で介護する事が困難と想定される要介護認定3以上の認定者に対しては92.8%に上っています。特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホームに限っても136.4万人の収容能力があり、要介護認定3以上の認定者に対して約65%となっています。
 今後、国の介護保険制度から要介護1,2が外され、市町村の総合事業に移管される事が想定されている状況に於いては基本的には施設の増設はあまり必要ではない状況にあると想定されます。
 今後に付いては、低所得者でも入所できる特別養護老人ホームと、今後益々必要性が増大すると思われるグループホームの増設が課題となると思われます。これから国の方針として、より一層在宅及び地域での介護の方向性が強まって来る中で、如何に健康寿命を延ばせるかが大きな課題となると考えます。

◆高齢者の暮らしについて
 高齢者世帯の1人当たりの所得金額は216.4万円で、全世帯平均の283.8万円と比較して76.2%となっており、更に収入が年金のみの世帯が54.1%を占めています。一方、貯蓄に付いては60歳以上の貯蓄の中央値(人数的に中位にあるもの)は1,567万円と全世帯の中央値の約1.5倍となっています。
 暮らし向きに心配ないと感じる高齢者は60歳以上の人の64.6%となっており、年齢が高くなるほど心配無いと感じる比率は上昇し、75歳~79歳の人で67.2%、80歳以上では71.5%なっており、比較的にゆとりのある生活を送っていると思われます。
 一方で、生活保護を受けている高齢者の割合は2.86%となっており、全人口に占める生活保護受給者に割合の1.67%と比較して高い比率です。平成27年度の65歳以上の高齢者の生活保護受給者は97万人と年々増加しており、貧富の格差が増大していると考えられます。

◆高齢者の健康状態
 病気や怪我等で自覚症状のある「有訴者」の比率は、65歳以上では全体で44.6%、内男性41.7%、女性46.9%、75歳以上では全体50.5%、男性48%、女性52.2%と全体的に女性の方が高くなっています。
 一方、通院している人数を見ると、全体平均では39%であるが、65歳以上では68.7%、75歳以上では72.8%と非常に高い比率となっているが、有訴率の男女差があるに関わらず男女の差は殆ど無く、女性の方が我慢強いと言えます。通院の理由は男女共に高血圧症が圧倒的に多く、他の病気の2倍以上となっています。
 一方、高齢者の体力は年々増加しており、平成28年度の70~74歳の体力は男女共平成10年の65歳~70歳の体力を上廻っています。

◆インターネットを活用する高齢者が増加
 平成28年度の統計によるとインターネットを利用する高齢者は60~69歳で75.7%、70~79歳で53.6%、80歳以上でも23.4%となっています。6年前の平成22年度と比較すると70歳~79歳が14.4%、60歳~69歳が11.3%利用者が増えており、今後高齢者にとってのインターネットの重要性が益々増大して行くものと考えます。

◆まとめ
 今までの高齢者対策は施設の充実に力を注いでいましたが、施設全体としては既に一定の充足が完了していると思われ、今後は低所得者向けの特別養護老人ホームおよび認知症対応のグループホームの増設に特化すべきと考えます。
 これから重要となるのは、現在要介護認定を受けていない方の健康寿命を如何に延ばすかであると思います。その為には、健常高齢者の住まいや、住まい方について考えて行く必要があります。