令和2年度「高齢社会白書」のポイント解説

令和2年7月に「令和2年度高齢社会白書」が出されました。
以下、注目点に付いて解説いたします。

■高齢者の「経済的な暮らし向き」について
全国の60歳以上の高齢者に「現在の暮らし向き」について聞いたところ、「全く心配なく暮らしている」が20.1%、「それほど心配なく暮らしている」が54.0%となり、合わせて74.1%の方が「心配なく暮らしている」という結果となりました。
平成28年度の同様の調査では、この比率が64.6%でしたから、今回、9.5%の大幅な上昇となりました。
なお、年代・男女別に見てみると75~79歳で男性72.4%、女性74.7%、80歳以上で男性73.2%、女性81.1%と、高齢になるほど、経済的に心配なく暮らしている割合が高くなっています。

また、「配偶者有り」の人が74.8%であったのに対して、「離別」した人が57.7%、「健康状態良」の人が85.5%であったのに対して、「健康状態悪」の人が57.3%と、配偶者の有無や健康状態が、「経済的な暮らし向き」に大きく影響していることが分かります。
預貯金の取り崩しについては、「ほとんど取り崩していない」が、70歳以上で約50%、80歳以上では約60%になりました。女性の80歳以上では約70%が預貯金を「ほとんど取り崩していない」と回答しています。
これらの数字から、「配偶者と離別」したり「健康状態が悪い」方を除けば、ほとんどの高齢者が経済的には問題無く暮らしている事が分かります。

■高齢者の「生きがい」に関する意識
60歳以上の男女に、「現在、どの程度の生きがい、喜びや楽しみを感じているか」を調査した結果、「十分感じている」「多少感じている」の合計が79.6%となり、高い割合で「生きがいを感じている」結果となっています。
ただし、「配偶者有」が82.1%と非常に高いのに比べ、「未婚」は63.1%、「離別」は67.9%と低くなり、「経済的な暮らし向き」と同様、配偶者の有無が「生きがい」にも大きく影響しています。

■高齢者の就労状況(令和元年)
収入のある仕事についている人の比率は、男性の65~69歳で60.1%と、平成28年と比較して約7ポイントアップ、男性の70~74歳では41.7%と、約2ポイントアップ、75~79歳で28.8%と、約10ポイントアップなりました。
女性では、65~69歳で38.0%と4ポイントアップ、70~74歳で35.5%と約12ポイントアップ、75~79歳で19.5%と約7ポイントアップと、性別や年齢によらず、高齢者の就労率が増加しました。

■孤独死を身近に感じる方の割合
「孤独死を身近な問題と感じる」割合は、平成28年度で17.3%であったものが今回の調査では34.0%とほぼ倍増しました。
特に、夫婦のみの世帯では31.1%ですが、単身世帯では平成28年度で45.4%であったものが50.7%と5割を超えています。

■まとめ
働いて収入を得る高齢者の割合が年々増加し、「経済的な暮らし向き」も「生きがい」も高い比率となっていますから、「高齢者は弱者で、助けるべき対象」という認識は当たっていないと言えるでしょう。
もっとも、夫婦2人や単身の高齢者のみの世帯が年々増加している中で、漠然とした不安を抱える高齢者が増えているのは事実。特に単身高齢者の世帯が増加しており、「有料老人ホーム」が要介護認定者しか実態として受け入れない中、“健康は維持しているが、漠然とした不安を抱えている高齢者”の人達の生活の場をどう確保していくのかは大きな課題であると思います。平均的には高齢者は豊かですが、貧富の差は拡大しており、今後求められるのは貧困高齢者の住まいと、健常高齢者の住まいをどうするのかであると考えます。