農業生産法人ナガホリ (埼玉県上尾市)

高齢者がたくさん集まり生き生きと働いていると以前紹介した「農業生産法人ナガホリ」。今回は経営者に取材し、その秘密を探った。

農家の高齢化や後継者不足により、全国的に問題となっている耕作放棄地。ある意味、我が国の社会問題の縮図でもある。
ナガホリは数年間いっさい耕作せずに荒れ地となってしまった耕作放棄地を無償で開墾整備し、畑地へと転換する代わりに3~5年間は無料で借り受け、その後は賃料を払うという手法で農地を広げてきた。復元した農地は今や上尾市を中心に120か所に点在しているという。
同法人の主力作物、小松菜の出荷量は首都圏最大規模の年間1100トン。枝豆、キャベツ、ニラなど11品種を合わせた総作付面積は90ヘクタールにのぼる。
作業を行うパート従業員は約160人。大半が65歳以上。パートの仕事は袋詰めのほか、種まきや収穫作業などで最高齢は81歳!
「第二の人生、農業で楽しくやりませんか」と求人広告を折込むと定年退職者がたくさん応募してくる。高齢者が「たくさん集まる」秘密は、年齢無制限/能率給/現金払い、そして勤務日任意制という雇用条件にある。賃金の現金払いは現役時代に給料が銀行振込だった人にはとても喜ばれるそうだ。
奥様で専務の希久江さんによれば、「サラリーマン男性は引退後閉じこもりがち。ここにくるといろんな人に会えるから話し好きになる。女の人とも話せるようになる。だから家でも性格が変わったと思うくらい明るくなったと奥さんに言われる。しかも屋外で働くのでいつまでも健康でボケないし元気になる。」どうやら「生き生きと働いている」秘密は、お天道様の下で男女分け隔てなく汗水流して体を動かすということに尽きるようだ。
高齢者を積極的に採用している直接的理由は、「意欲も能力もある人が多いのに埋もれたままにするのはもったいない」からだが、同時に社長であるご主人の夢をかなえるためでもある。
社長は農業の今後について「若者の就農人口が減っており、あと3、5年もすれば大変なことになる。」と危惧している。「若者で農業をしたいという夢を持っている人は、たいてい実家が非農業。農業をやるためには農地が必要になる。だから農地をどんどん広げできるだけ支援していきたい。若者に夢を託したい。そのために元気なお年寄りはたくさんいますからそのパワーを活用していきます。」
将来有望な夢見る若者、そしてそれを支えるために生き生きと働く高齢者。
超高齢者社会をのりきるヒントがここにある。

撮影:小山 一芳
取材:代田 耕一